2026年 広島市の地価動向まとめ — 広島駅周辺・紙屋町再開発はどこまで効く?


はじめに — 新駅ビル開業で「もう一つの都心」が動き出した
広島市は人口約119万人を擁する中国・四国地方最大の都市です。2025年3月に新駅ビル「minamoa(ミナモア)」がグランドオープンし、同年8月には路面電車の駅ビル2階乗入れが実現しました。2026年3月にはペデストリアンデッキがエールエールまで開通し、広島駅南口は「もう一つの都心」として急速に存在感を高めています。
2026年の公示地価では、広島市全体の平均が32万6,379円/㎡(前年比+3.4%)と5年連続の上昇。とりわけ中区の商業地+5.7%、南区+5.2%は再開発効果を色濃く反映しています。本記事では、国土交通省の公示地価データを基に、広島駅周辺と紙屋町・八丁堀の「楕円形の都心」がどこまで地価に効いているかを分析します。
広島市全体の地価概況
5年連続上昇、上昇率は加速傾向
広島市の地価はコロナ禍の2021年に一時マイナスとなりましたが、2022年以降は回復が加速しています。中区の公示地価平均は100万円/㎡を突破し、地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)の中でも安定した成長を見せています。
広島市中区の地価推移(2020〜2026年)
| 年 | 公示地価平均(円/㎡) | 前年比変動率 |
|---|---|---|
| 2020年 | 82万5,574円 | +8.2% |
| 2021年 | 80万4,914円 | -0.7% |
| 2022年 | 82万7,106円 | +2.7% |
| 2023年 | 86万5,127円 | +4.0% |
| 2024年 | 90万8,106円 | +4.6% |
| 2025年 | 95万4,978円 | +5.0% |
| 2026年 | 100万5,914円 | +5.4% |
(出典:国土交通省「地価公示」各年版より土地ペディア作成)
中区は2020年に+8.2%と大きく伸びた後、コロナ禍で一時後退しましたが、2022年以降は毎年上昇率を拡大しています。2026年の+5.4%は6年ぶりにコロナ前のペースに迫る水準です。
区別の地価動向 — 中区と南区が牽引
8区の地価比較(2026年公示地価)
| 区 | 公示地価平均(円/㎡) | 前年比 |
|---|---|---|
| 中区 | 100万5,914円 | +5.4% |
| 南区 | 41万9,233円 | +5.2% |
| 西区 | 21万7,291円 | +3.8% |
| 東区 | 20万2,210円 | +2.3% |
| 安佐南区 | 12万9,436円 | +3.2% |
| 佐伯区 | 12万6,722円 | +3.3% |
| 安芸区 | 9万1,447円 | +1.3% |
| 安佐北区 | 7万0,541円 | +0.9% |
(出典:国土交通省「令和8年地価公示」より土地ペディア作成)
中区 — 100万円/㎡を突破、八丁堀が市内最高地価
中区は公示地価平均100万5,914円/㎡と市内で圧倒的な地位を占めています。商業地の最高地点は八丁堀15-8で420万円/㎡(+4.0%)、次いで堀川町6-14が358万円/㎡、本通5-9が346万円/㎡と続きます。
注目すべきは幟町14-8の前年比+9.5%で、これは広島駅南口から徒歩圏にある商業地です。新駅ビル「ミナモア」の開業効果が駅東側の商業地に波及していることを示しています。
住宅地も47万6,666円/㎡(+4.9%)と堅調で、都心居住の需要が引き続き旺盛です。紙屋町・八丁堀エリアのマンション需要は東京都と比較して㎡単価で3分の1以下の水準にあり、地方都市としては高い居住コストパフォーマンスを維持しています。
南区 — 広島駅再開発の恩恵を最も受けるエリア
南区は公示地価平均41万9,233円/㎡(+5.2%)で、上昇率では中区に次ぐ市内2位です。広島駅を擁する南区は、新駅ビル「ミナモア」の開業と路面電車の駅前大橋ルート開通(2025年8月)、さらに2026年3月のペデストリアンデッキ延伸によって、駅周辺の回遊性と商業集積が飛躍的に向上しました。
広島駅周辺の基準地価は86万1,512円/㎡で、市内の駅別では最も高い水準です。駅南口のBブロック・Cブロックでは引き続き再開発が進行中で、2028〜2029年にかけてさらなるペデストリアンデッキ延伸と交通広場の整備が予定されています。
西区 — JR西広島駅北口再開発に注目
西区は21万7,291円/㎡(+3.8%)です。JR西広島駅北口では再開発事業が進行中で、駅前エリアを中心に地価上昇が見られます。路面電車(広電)の終点でもあり、紙屋町方面へのアクセスの良さから住宅需要が底堅いエリアです。
安佐南区 — 郊外住宅地の底堅さ
安佐南区は12万9,436円/㎡(+3.2%)と、郊外区としては比較的高い上昇率を維持しています。アストラムラインや可部線沿線の平地の住宅地で需要が堅調ですが、山間部や駅から離れたエリアでは横ばいにとどまり、区内でも二極化が進んでいます。
広島駅周辺の再開発 — ミナモアが変えた地価の景色
新駅ビル「minamoa(ミナモア)」(2025年3月開業)


地上20階建て・総延床面積約11万㎡の大規模複合施設で、中四国最大の飲食店街、シネマコンプレックス、約220店舗の商業施設にホテルを併設しています。JR西日本が約600億円を投じたプロジェクトで、広島駅のイメージを一新しました。
路面電車・駅前大橋ルート(2025年8月開業)

広島電鉄の路面電車がミナモアの2階に直接乗入れる新ルートで、紙屋町・八丁堀エリアへの所要時間を大幅に短縮しました。2026年3月28日には循環ルートの営業運転が開始され、広島駅と紙屋町を結ぶ「楕円形の都心」の回遊性がさらに向上しています。
ペデストリアンデッキの段階的整備

- 2025年3月:Cブロックとミナモアを接続するデッキが開通
- 2026年3月:ミナモア2階アトリウム〜エールエールHIROSHIMAを接続するデッキが開通。地下道経由だった動線がフラットに一直線化
- 2028年春:2階にぎわい広場の供用開始
- 2029年春:南口交通広場(バス・マイカーエリア)、Bブロック接続デッキ供用開始

紙屋町・八丁堀エリアの再開発 — 「楕円形の都心」のもう一極
紙屋町・八丁堀地区 都市再生緊急整備地域
広島市は紙屋町・八丁堀地区を「都市再生緊急整備地域」に指定し、民間投資を誘導しています。高さ約180m・地上31階建ての複合ビル(高層部ホテル・中層部オフィス・低層部に広島商工会議所・商業施設)が2026年度に高層棟の竣工を目指しています。
エディオンピースウイング広島(2024年2月開業)
中区中央公園内に約286億円を投じて建設された街なかサッカースタジアムです。敷地面積約49,900㎡、地上7階・高さ約42m、収容人数約28,500人。サンフレッチェ広島のホームスタジアムとして、試合日には周辺の飲食・商業施設に大きな集客効果をもたらしています。
紙屋町・八丁堀エリアの商業地(本通5-9)は346万円/㎡(+2.4%)、新天地2-1は320万円/㎡(+4.9%)と安定的に上昇しており、スタジアム効果と都市再生整備の相乗効果が見て取れます。
広島市主要エリアの地価比較
| エリア | 代表地点の地価(円/㎡) | 前年比 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 八丁堀(中区) | 420万円 | +4.0% | 市内最高地価、商業集積の中心 |
| 本通(中区) | 346万円 | +2.4% | 紙屋町〜本通の歩行者天国 |
| 幟町(中区) | 277万円 | +9.5% | 広島駅徒歩圏、最高上昇率 |
| 広島駅周辺(南区) | 86万1,512円(駅平均) | +5.2% | ミナモア開業効果 |
| 西区平均 | 21万7,291円 | +3.8% | 西広島駅北口再開発 |
| 安佐南区平均 | 12万9,436円 | +3.2% | アストラムライン沿線 |
(出典:国土交通省「令和8年地価公示」より土地ペディア作成)
幟町の+9.5%が際立っており、広島駅南口再開発の波及効果が数値に表れています。八丁堀・本通エリアは絶対価格こそ高いものの、上昇率は2〜4%台と安定的で、成熟した商業地としての特性を示しています。
今後の見通し
上昇要因
- 広島駅南口の段階的完成:2028〜2029年にかけてにぎわい広場やBブロック接続デッキが完成し、駅南エリアのポテンシャルはさらに拡大
- 路面電車循環ルートの定着:広島駅〜紙屋町〜八丁堀を結ぶ「楕円形の都心」の回遊性向上が、沿線の商業地価を底上げ
- 紙屋町高層ビルの竣工:2026年度に高さ180mの複合ビルが竣工予定で、紙屋町エリアのオフィス需要が拡大
- インバウンド回復:平和記念公園・宮島への玄関口として、広島駅周辺のホテル需要は堅調
リスク要因
- 二極化の深刻化:安芸区+1.3%、安佐北区+0.9%と郊外区の上昇率は鈍く、人口減少と地価の関係で論じた構造的課題が広島にも該当
- 建築費高騰:マンション価格の上昇に伴う買い控えリスク
- 紙屋町vs広島駅の競合:都心が二極化した場合、商業施設のテナント争奪が激化する可能性
- 金利上昇リスク:住宅ローン金利上昇の影響。地価と金利の関係も参照
よくある質問
Q. 広島市で最も地価が高いエリアはどこですか? A. 中区の八丁堀15-8が420万円/㎡で市内最高です。紙屋町〜八丁堀〜本通にかけての商業エリアが300万円/㎡を超える高値圏を形成しています。住宅地では中区が平均47万6,666円/㎡で最も高く、都心居住の需要が価格を押し上げています。
Q. 広島駅の再開発は今後も地価に影響しますか? A. 大きく影響します。2025年の新駅ビル開業効果はすでに幟町+9.5%という数字に表れていますが、2028〜2029年にかけてペデストリアンデッキのBブロック延伸や交通広場の完成が控えており、駅南エリアの地価上昇余地はまだ残っています。路面電車の循環ルート定着により、紙屋町〜広島駅の「楕円形の都心」全体で恩恵が広がる見通しです。
Q. 広島市と他の地方四市(札幌・仙台・福岡)を比較するとどうですか? A. 広島市中区の商業地最高地価420万円/㎡は、福岡市の天神エリアには及びませんが、仙台市の最高地価475万円/㎡と同等の水準です。住宅地の手頃さでは広島が優位で、都心居住のコストパフォーマンスは地方四市の中でも高い部類に入ります。全国の地価動向は地価上昇率ランキングもあわせてご覧ください。
まとめ
広島市の地価は、広島駅南口の再開発と紙屋町・八丁堀エリアの都市再生が両輪となり、5年連続の上昇を続けています。中区の公示地価が100万円/㎡を突破し、幟町(広島駅徒歩圏)の前年比+9.5%は、新駅ビル「ミナモア」と路面電車新ルートの開業効果を如実に示しています。
2026年3月のペデストリアンデッキ延伸と循環ルート開業により、広島駅と紙屋町を結ぶ「楕円形の都心」が本格的に機能し始めました。この回遊性の向上は、沿線の商業地・住宅地の地価を中長期的に押し上げる要因となるでしょう。
一方で、安芸区や安佐北区など郊外区の上昇率は1%未満にとどまり、市内の二極化は進行しています。投資・居住いずれの観点からも、再開発の恩恵が及ぶ「楕円形の都心」内のエリア選びが重要です。最新の地価情報は広島県の地価ページでご確認ください。
--- 出典・参考 - 国土交通省「令和8年地価公示」 - 国土交通省「令和7年都道府県地価調査」 - 広島市「地価の動向」 - JR西日本「広島駅ビルプロジェクト」 - 広島市「都市再生緊急整備地域(広島紙屋町・八丁堀地域)」
※本記事のデータは2026年3月時点の公示地価・基準地価および各種公的統計に基づいています。